「久しぶりに会おう」と、突然のLINE。そいつがカスビジネスの類に傾倒するような人間ではないことは知っているので、もう一人の友人も誘って、早速GWに会う約束をした。
幸い全員が地元に残っていたので、数日後、友人の運転する車に拾われる形で、簡単に顔を合わせられた。私は少し緊張していたが、会って話してみると案外気楽なもので、これまでの空白が嘘のように車内の空気が緩んでいった。
彼らは私と違って浪人もせず、就職先を見つけて大学を卒業しており、社会人2年目に入っていた。あの頃はオドオドとしていた彼も、もう一人のムスッとした彼も、どこか私にはない落ち着きを見せていた。これが社会人なのか……
そんな私たちの目的は一つ。この場にいないもう一人の友人(友C)に会いに行くことだ。
その彼は私と同じで大学浪人だったのだが、途中で挫折、そのまま引きこもりになっていたようだった。秘密主義である彼に関する情報はほとんどなく(もちろん連絡先も教えてもらっていない)とにかく一度家に突撃してみようということになった。
近所の駐車場に車を停め、徒歩で向かう私たち3人。
友A「やばいなんか緊張してきた……」
友B「やっぱ(昼食は)中華がよかった」
私「……(どうすれば地球を破壊できるかな)」
そんなことを話しているうちに、目的地に到着
インターホンなどを押すまでもなかった
彼は玄関先でタバコを吸っていた
久しぶりの再会、私たちは顔を見合わせてニヤニヤした
その後、近所の公園へ行き、友Cといろいろな話をした。結局大学へは行かずに働いていること(具体的なことは教えてもらえなかった)、庭によく草色のカエルがいること、茹でたパスタをそのままにして出てきたこと
その他にも、身の回りにあったちょっとしたことをぼそぼそと教えてくれた。
彼はあの頃のままでいてくれた。口数が少ない分、周りをよく見ていて、私がわざわざ見ない小さな物事を教えてくれる。私はそんな彼の感性に惚れていた。
私は久しぶりに触れた「最高」にテンションが上がり過ぎ、近くの川へ飛び込んでしまった。
一通り話し尽くした私たちは、皆でまた会う約束をし、日の高いうちに解散した。
わたしも前に進もう
そう強く思えた一日だった
雑おしまい